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はじめに
過敏性腸症候群(IBS)について調べていると、ペパーミントオイルが効くのではないか?との情報にたどり着きます。
果たしてそれは本当なのか?どの程度の研究がなされているのか?気になったので調べてみました。
厚生労働省の発表する情報をはじめとして複数の情報元から得た情報をまとめております。
ペパーミントオイルとは?

ペパーミントとは、ヨーロッパおよび北アメリカ全土で自生する植物です。
ペパーミントオイルは、ペパーミントの花や葉から留出される精油のことを言います。
精油は、ペパーミントのスースーとした特徴的な香りをもたらす物質(L-メントール)を含む非常に濃縮された油です。
石鹸や化粧品などに特有の香りを添加するために香料として使用されています。
日本にもハッカというミントがありますが、ハッカとペパーミントは別物です。
アメリカがペパーミントオイルの世界的な生産国であり、毎年4,000t以上のペパーミントオイルを供給している。ペパーミントは最も売れているハーブティー(ブレンドではないシングルハーブ)の10位以内にランクインしている。伝統的に、主に消化を助けるハーブティーとして使われてきた歴史がある。
効果・効能
※塗る使い方もありますが、経口摂取に絞ってまとめています。
・過敏性腸症候群(IBS)
・消化器系症状・風邪・副鼻腔感染症・頭痛など
・腹痛
・腸機能の変化、便秘、下痢
・結腸粘液の過剰分泌
・消化不良の症状(腹部膨張、吐き気、拒食症)
・非潰瘍性消化不良
・不安神経症またはうつ病などの症状が特徴的な過敏性腸症候群(IBS)を患う方の胃腸機能の改善
・胃食道逆流症
・腸内のカンジダ
・アルビカンス(大半のIBS症例で一般的な原因とされる酵母)の異常増殖
・ピロリ菌(消化性潰瘍や胃がんに関わる細菌)
・胆石に関わる症例

ペパーミントオイルは、この腸管平滑筋の過収縮を抑制することで過敏性腸症候群、食道けいれん、腸疝痛などの症状の緩和を助けるとされています。
アロマセラピーでの見解
咳や風邪の治療、疼痛緩和、精神機能改善およびストレス軽減
ペパーミントオイルの研究
主に過敏性腸症候群(IBS)に重点を置きわずかな研究が実施されている。
ペパーミントの葉の研究はほとんど行われていない。
研究で解明されていること
ペパーミントオイルの腸溶性カプセル剤
成人においてIBS症状を改善する可能性があると示唆されている。
一部の小児において、腹痛を軽減する可能性があると示唆されている。
ペパーミントオイルとキャラウェイオイルを含む特定の製品
消化不良を和らげるのに有用である可能性を示した。
ペパーミントオイル単独摂取
有用であることを示す科学的証拠(エビデンス)はない。
※いずれも少数の研究
研究例
複数の試験で、腸溶性コーティングされたペパーミントオイルは、およそ70~85%の過敏性腸症候群(IBS)症例において、2週間から4週間の間にその症状を効率よく和らげることが示されている。過敏性腸症候群(IBS)を患う8歳~10歳の子供にペパーミントオイルまたは偽薬を2週間与える実験が行われた。この実験では体重が30~45kgの子供には1カプセルを、45kg以上の子供には2カプセルを1日3回与えた。2週間後の結果では、偽薬が与えられたグループのわずか19%に対し、ペパーミントオイルが与えられたグループの76%で大幅な症状の改善が見られた。
飲み合わせの注意(薬物相互作用)
・消化機能改善剤(シサプリド)はメントール含有製剤と相互作用する。
・ペパーミントオイルを食事の時に摂取、あるいは胃酸分泌抑制剤と併用摂取すると、ペパーミントオイルが早くカプセルから流出してしまい効果が無くなる。
推奨摂取量(摂取タイミング)
1カプセルに付き0.2mlの腸溶性コーティングされたペパーミントオイルが含まれるサプリメントの一般的な推奨摂取量は、毎日1~2カプセル。(食事の間)
※過敏性腸症候群(IBS)患者の場合は、1回1~2カプセルを1日2~3回服用することが薦められている。
安全性・副作用
・重篤な副作用報告はこれまでないようだが、稀にアレルギー反応を起こす場合がある。
・経口(口から)摂取した場合に考えられる副作用は、胸焼け・悪心・腹痛および口内乾燥。(補足:日本では、ペパーミントのエッセンシャルオイルの経口摂取は認められていない)
・慢性的に胸焼けを起こす人はペパーミントの使用は避けるべきとされている。
・ペパーミント油またはメントールによる、舌の苔癬様反応、再発性口腔潰瘍、口が焼けるような症状などの接触性の口腔過敏症が12件報告されている。
・ただし、一般的にペパーミントオイル含有カプセルは、摂取した際の胸やけを減らすために腸溶性カプセルになっている。
・妊娠中・授乳中のペパーミントオイル摂取の安全性についてはほとんどわかっていないようだが制限なしとの文献もある。
まとめ
ペパーミントオイルの有用性においてはまだ研究が少ないものの、効果を示した結果が出ている。
しかし、有用性において医学的根拠があるとまでは言えない。
最近は日本の働く世代に急増しているとも言われる過敏性腸症候群ですので、医学的な研究がより進むことを期待したいと思います。
使用される場合は、製品の用法・容量を守り自己責任でお願い致します。
参考・出典
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』海外の情報・ペパーミントオイル